『写真集 北総の子安さま 里の慈母像を追って』を上梓しました
このたび『写真集 北総の子安さま 里の慈母像を追って』を上梓しました。
Facebookで、「北総の子安さま 写真集」シリーズとして、子安像塔の写真を2023年1月から毎日1基ずつアップしたところ、多くの方からリアクションをいただき、2024年9月まで300選の子安像塔の画像アップできました。
さらに途中で、「アルバムとして出版したら」をアドバイスもいただき、うれしくなって、60基の子安像の画像を選び、この度小冊子として本にして上梓いたしました。
郷土史調査や石仏の研究をされておられる方々だけではなく、ひろく一般向けに編集するという私にとっては初めての試みでしたが、一応子安像塔の成立と変遷がたどれるよう、紀年銘順に並べてあります。
機会がありましたら、ぜひ手に取って、ご一読ください。
『写真集 北総の子安さま 里の慈母像を追って』
2024年10月10日 第1刷
著 者 蕨 由美
発行所 オリンピア印刷株式会社
© Warabi Yumi Printed in Japan
ISBN 978-4-86795-063-0
C0039 ¥2500E
六一書房にて現在販売中です
ネット通販でぜひお買い求めいただきたく存じます
----------------------------------------------------------------
『写真集 北総の子安さま 里の慈母像を追って』から引用
はじめに 里の慈母像「子安さま」を追って
里道をたどってムラの中へと歩いていくと、路傍や産土の神社やお寺の境内で、子を抱いた母の姿の石仏によく出会います。
ムラの女性たちの集まりである女人講や子安講が建てた子安塔で、「子安大明神」や「子安観音」というこのお方の名が記されていることもあります。
神か仏かの区別が定かではありませんが、これらの石塔や石祠を地元では「子安さま」と呼んでいるようです。
女神様あるいは観音様が、豊かな胸をあらわにして無邪気な赤子に乳を与え、優しく微笑む姿は、惜しみない慈愛のかたちをもって、村の女性たちの祈りと願いを一心に受け止めてきたことでしょう。
お地蔵さまや庚申塔の青面金剛さまの石仏と違って、仏像としてのきまり事はなく、石工さんの独創的な技を競い合うような自由なスタイルも魅力です。
紀年銘を見ると、江戸中期から現代までさまざまで、中には今も連綿と建て続けられている地区もあります。
私は、これらの母性と慈愛に満ちた「子安さま」に惹かれて、近隣の町や村、そして千葉県北部に広がる「子安さま」を探して回りました。
まずは、その姿を写真集でご覧ください。
そして、「子安さま」の石像の由来ついて、ご興味がおありでしたら、「解説―北総での子安像塔成立の謎を解く」もお読みいただければ幸いです。
最近のコメント