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2006年1月14日 (土)

K-6  男女神を対で祀る民俗と遺跡の関係

 今年の馬場小室山遺跡研究会の事始は、遺跡のある旧三室村の鎮守である「武蔵一宮氷川女体神社」の初詣、それも神主さんの司式による正式参拝でスタートをきりました。
 女体神社は、男神である大宮の氷川神社に呼応する女の神であり、両社一体であったが故にともに「武蔵一宮」でもあったのですが、isigami男女神を対で祀るというのは、先史時代にさかのぼる祭祀の姿でもあったのでしょう。

  昨年、シリーズ「縄文遺跡のある風景」でとりあげた石神台貝塚ですが、ここにはその小字(遺跡)名の由来となった石神さまが祀られています。
 その名のとおり、長細い巨大な石が御神体(⇒)で、この石は地面から生え出るよう社殿の床をつきぬけて直立し、祠の扉を開けるとその頭部を拝むことができます。 そしてその前には摺り石が添えられているのです。

 isigami2 祠の周りには、この付近の畑から出土したと思われる石棒やたたき石がぎっしりと敷き詰められ、性の神を祀る縄文時代からの祭祀の姿を彷彿させていました。

縄文遺跡から男性を象徴するたたき石や石棒と、女性を表す摺り皿などを対に祀った状態で出土する事例もあったとのこと。(「石棒祭儀に伴う象徴的生殖行為とその意味」谷口康浩2005.11.12「縄紋社会をめぐるシンポジウムⅢ」)

  柳田國男の「石神問答」を紐解くまでもなく、男性神、また男女神(陰陽の神)を祀る民俗事例は今でも比較的多く目にしますが、心が19yanyoirinけて見てみると、男性神に呼応する女性の神も辻や路傍のあちこちに残っていることに気づきました。

 石神台貝塚のある舌状台地には、さらに台地の付け根の道がY字に分かれる分岐点に地蔵さまの祠や石仏が密集している場所があります。(⇒空撮写真に「伊付集会所」とポイントした場所

 大きな榎の根元に下から突き上げられて斜めに立っているは、宝暦12年の十九夜塔(⇒)、明治・大正期の子安観音塔などの女人信仰に関わる石塔群です。

 庚申塔や道祖神、馬頭観音などのほか、ムラを悪霊から守る賽のdaikonn神として、道の分岐に子安神を祀るということはよく見られることで、その姿は、八千代市上高野の三叉路に「子安大明神」とその名の通りの神社がある場合のほか、安産祈願のための「犬卒塔婆」が立てられる吉高の大桜の畑の角、二股や三股の大根が供えられている米本三叉路の道祖神(⇒)などでは、今も村の女性たちの信仰が続いていました。 09

  おそらく印旛村伊付分岐点の石仏群も、Y字型の古道の形や巨木(⇒)の洞の形が女体を連想させる故に子安神を祀っていたに相違なく、1町ほどの先の男性神を祀る石神神社と相呼応する女神の寄り代であったのではと感じます。

 そういえば、世の中に「石神」「姥神」「姥山」などという小字名に由来する縄文遺跡が多々あることも気になりはじめました。それらの遺跡名に「石神問答」のシャグジの神をつい連想してしまうのですが、地下の遺構とともに地表に残された神社や祠、立石にも縄文人からのメッセージが託されているのだと思います。
 寺の境内以外の路傍や山中、畑に残された子安信仰の寄坐(よりまし)も、またそのひとつの姿であったのでしょう。

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コメント

いろいろ陰陽石は見てきましたが、これが一番でかいですね。
http://www.ne.jp/asahi/asamasa/shako/nagano/sekibou.html
あと全国の大切な地名が失われている現状は、大変よろしくない状況ですよね。都市の名前にしても同様で、合併で安易な名前をつけるのはやめてほしい。

投稿: しゃこ | 2006年1月15日 (日) 09:57

ついでにもう一言。blogもまた乗り換えちゃたので
出来ればリンク修正いただければ幸いです。
http://shako.asablo.jp/blog/
ちなみに私の初詣は、近所の神社と川越氷川神社です。
氷川シンクロ!

投稿: しゃこ | 2006年1月15日 (日) 10:05

しゃこちゃん こんばんわ。

下宅部遺跡、「小室社」、安房神社(まだ?)と続いて、またもや、氷川シンクロ!(しゃこちゃんの掲示板見てる人はわかる?)

はじめは土偶の世界でご一緒しましたっけ
しゃこちゃんのHPは、遺跡と祭祀の関係をさぐる問題意識が近いのか、とても参考になります。
縄文の「お祭りグッズ」はリアルすぎてHP掲載は勇気がいりますね。
ブログのリンク更新しました。これからもよろしくね。

投稿: さわらびY(ゆみ) | 2006年1月16日 (月) 00:39

安房神社アップしました!
なかなかストックがはけません...

投稿: しゃこ | 2006年1月17日 (火) 00:54

しゃこちゃん
安房神社、待ってました!

本殿、厳島社、甘南備山の3ショット、さすがです。
私は海の方にばかり意識がいってしまい、正面に見える神山に気が回りませんでした。

祖霊信仰は、やはり神山礼拝が原点ということを教えてくださってありがとう。
しゃこちゃんのHPの視点は、いつも新鮮で感性が光っています。
たくさんためこんだ「ストック」の大放出、期待しています。

投稿: さわらびY(ゆみ) | 2006年1月17日 (火) 22:30

インドの神々/斉藤より、シヴァ神のシンボルは弁天さん梵天夫人素戔嗚尊3女神の1市杵島姫の祟り呪いで珍鉾‥
小田慈舟御室ん仁和寺門跡胎蔵法講義長尾の天神演技派手目なる真言宗醍醐寺派三宝院流ルーツは現代語訳造物主並びにその信者‥
学研えそてりかの古訳大自在天満宮
此の世は神さんの息子が保持/チベット密教タンカの世界‥

投稿: 未蛙 | 2013年6月 1日 (土) 22:39

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